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相続手続きをしないとどうなる?起こるリスクや手続きの期限を知ろう


更新日: 2025 . 03.1

相続が発生したものの、さまざまな理由で手続きを行わない方がいます。しかし、相続手続きをしないことには多くのリスクが伴うことをご存じでしょうか。

本記事では、相続手続きをしない場合に起こりうる7つのリスクを解説します。各種手続きの期限についても紹介するので、相続が発生した方や手続きに迷われている方は、ぜひ参考にしてください。

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「相続対策」「相続手続き」の専門家です


相続手続サポートセンター長

大野 博満

[セブン合同事務所/相続手続サポートセンター広島]

相続手続きをしない場合に起こりうる7つのリスク

相続手続きをしない場合、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。主なリスクは以下の7つです。

  • 預金の権利が失われるリスク
  • 株式の権利が失われるリスク
  • 不動産の相続登記をしないことによる複数のリスク
  • 相続税を滞納するリスク
  • 借金を相続するリスク
  • 遺留分侵害額請求ができなくなるリスク
  • 相続分の取り戻しをできなくなるリスク

それぞれ順に解説していきます。

預金の権利が失われるリスク

被相続人が死亡すると、金融機関の預金は、相続手続きを行わないと引き出せなくなります。払い戻しをするためには、遺言書や遺産分割協議書などが必要です。

もし、相続手続きをしないまま10年が経過すると、休眠口座となり公益活動に活用されてしまいます。また、取引のない口座が5年間経過すると、払戻請求ができなくなる可能性もあるので注意が必要です。

遺産分割協議が成立する前に、預金を引き出したい場合は「預金の仮払い制度」が利用できます。ひとつの金融機関につき150万円まで引き出し可能です。

株式の権利が失われるリスク

株の場合、遺言や遺産分割行儀で相続人を決めないと、相続人全員の共有名義となり、自由に売買ができません。株式を売却し、その代金を受け取るためには、遺言や遺産分割協議により「誰が」「どの株」を相続するかを明確にしたのち、名義変更が必要です。

上場株式は、証券会社にて名義変更の手続きを行います。証券口座が複数ある場合は、それぞれの証券会社ごとの手続きが必要です。非上場株式の場合は、株式の発行元の企業に手続きを依頼しましょう。

株式も預金と同様で、相続手続きを行わずに放置すると、権利が失われる可能性があります。株式の相続期限は5年です。なお、不正行為があったと見なされた場合、相続期限が7年に延長に延長されます。

不動産の相続登記をしないことによる複数のリスク

令和6年4月1日から相続した不動産の登記が義務化されました。それに伴い、複数のリスクが想定されます。それが以下の4つです。

  • ペナルティが発生する
  • 不動産の所有権がなくなる
  • 手続きが煩雑になる
  • 損賠賠償請求や固定資産税の増額の可能性がある

ペナルティが発生する

2024年4月1日より、相続登記が義務化されました。(不動産登記法大76条の2第1項)この改正により、相続が開始されたことを知った日から3年以内に、相続人は相続登記する義務を負います

正当な理由なく違反した場合は、10万円以下の過料が課される可能性があります。早めに手続きをしましょう。なお、義務化前に相続したことを知っている場合の登記期限は令和9年3月末です。義務化前に土地や不動産を相続している場合は、該当していないかを今一度確認してください。

不動産の所有権がなくなる

相続した財産のうち不動産がある場合、相続人を確定しなければ、相続人全員の共有財産となります。しかし、登記をせず放置しているうちに第三者に登記されてしまうと、所有権を主張できなくなってしまう可能性もあります。せっかく相続した不動産の権利を失ってしまうことにもなりかねません。

また、共有相続人に借金があると、債権者に不動産を差し押さえられる可能性もあります。勝手に売却されたり、権利問題で揉めないためにも、相続登記をしておきましょう。

相続手続きが煩雑になる

相続手続きをせず放置すると、年数がたつごとに権利関係が複雑になっていきます。相続登記をしないうちに相続人が亡くなると、新たな相続が発生します。最初は兄弟同士の共同名義だった不動産が、子や孫が相続人になる「代襲相続」が起こってしまう場合もあるでしょう。

特に二次相続などの相続が発生すると、権利者が増えるため、必要な書類も膨大となり手続きが煩雑になります。権利関係が複雑化する前に、相続登記を完了させることが重要です。

損害賠償請求や固定資産税の増額などの可能性がある

古くなった空き家を放置して、壁や屋根の崩落によって周囲の住民に迷惑をかけた場合、損害賠償請求される可能性もあります。また管理を怠っていたために「特定空き家」に指定されるケースもあるため注意が必要です。

「特定空き家」とは、周囲の景観や環境を悪化させたり危険を発生させたりする可能性がある空き家のことです。特定空き家になると、固定資産税の減額措置が適用されず、今までよりも高い固定資産税を支払わなくてはなりません。また、地方自治体から改善のための勧告や命令を受けてしまうこともあるのです。改善に応じなければ、50万円以下の過料に処される可能性もあります。

相続税を滞納するリスク

相続税の申告と納付の期限は、財産を相続してから10ヶ月以内です。相続手続きをしないまま経過すると、相続税を滞納している状態となり、延滞税や不申告加算税など追加の税金がかかるというリスクがあります。

令和5年の国税庁のデータによれば、実際に相続税を支払った人は全体の9.9%でした。10人に1人しか相続税を支払う人はいませんが、その1人になるかは相続の手続きをしなければわかりません。

自分が対象者と知らずに相続税を滞納していたという事態に陥らないためにも、相続手続きはしっかりとしておきましょう。

参照:国税庁|令和5年分における相続税の申告事績の概要

借金を相続するリスク

相続は、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぎます。もし、被相続人に多額の借金があった場合は、相続放棄により負の財産を引き継がなくて済みます。ただし、相続放棄の手続き期限は、相続開始を知った日から3か月以内です。期限を過ぎると、借金を相続しなければならないといった事態におちいるため、相続手続きの放置は危険です。

遺留分侵害額請求ができなくなるリスク

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人が、遺産に対して最低限受け取れる割合のことです。例えば、配偶者・子2人の場合、子は4分の1の財産を受け取れる権利があります。しかし不公平な内容の遺言、特定の相続人への高額な生前贈与などがあった場合は、遺留分侵害額請求が可能です。

ただし、遺留分侵害額請求には期限があり、遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内となっています。相続の開始を知らなかった場合は、相続開始から10年です。どの程度の差があるかを知るためにも、相続手続きは重要です。

相続分の取り戻しをできなくなるリスク

遺産分割協議は、相続人全員の合意によって成立します。しかし、遺産分割協議後に新たな事実が発覚した場合や、遺産分割の内容に不満がある場合には、相続分の取り戻しを求められるのです。

また、本来の相続人が相続するはずの財産を相続人以外が占有している場合、相続人はその財産を取り戻す権利があります。これを相続回復請求権といいます。行使できるのは本来の相続人で、相続権の侵害を知ってから5年、相続開始から20年以内です。相続回復請求権は、相続手続きをしていない場合、権利が失われてしまうため注意が必要です。

参照:民法第884条

相続手続きは期限が決まっているものもある

相続手続きの中には、期限が決まっているものがあります。それぞれの手続き期限を表にまとめてみました。

相続の手続き期限

とくに相続放棄の期限は、相続発生から3か月以内と期間が短いため注意が必要です。負の遺産を相続しないためにも、相続の発生を知ったら、すぐに対応しましょう。

相続手続きを放置してしまっている方ははなまる相続に相談を

相続手続きを放置しておくと、様々なリスクが発生する可能性があります。特に、期限が決まっている手続きは、注意が必要です。もし、相続手続きを放置してしまっている場合には、早めに専門家に相談することをおすすめします。

はなまる相続では、相続に関する様々なご相談を承っております。相続手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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相続アドバイザー

大野 博満

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