相続コラム はなまる知恵袋
相続をするかしないかの決定は最短3か月|期限を知って間に合うような段取りを
更新日: 2024 . 04.12
相続コラム はなまる知恵袋
更新日: 2024 . 04.12
相続手続きの期限は、法律等によってそれぞれ定められています。相続税であれば、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月です。しかし相続するか放棄するかの決定期限は原則3か月以内と、相続税申告より早く結論を出さなければなりません。期限を過ぎないようにするには、どの手続きをいつまでに完了させるかを知っておくことです。
この記事では、相続が発生したら取り組むべき手続きについて詳しく解説します。葬儀後の大変なタイミングですが、手続き期限に間に合わせるためにも、ぜひ参考にしてください。
相続手続サポートセンター長
大野 博満
[セブン合同事務所/相続手続サポートセンター広島]
ひと口に相続手続きといっても、その内容はさまざまです。また、相続手続きのなかには法律等によって期限が設けられているものもあり、時間との戦いになるケースもあります。具体的には、次のように期限が設けられています。
手続き期限 | 手続きする項目 |
3か月以内 | 相続放棄・限定承認・単純承認の決定 |
4か月以内 | 所得税の確定申告(準確定申告)および納付 |
10か月以内 | 相続税の申告および納付 ※相続税の申告と納付の為に、相続財産の洗い出し、遺産分割協議・遺産分割協議書の作成、預貯金や有価証券などの名義変更 |
上記の手続きの合間に、初七日や四十九日などの法要も行われます。遺言書の有無によってやることが変わるものもありますが、期限内に各種手続きを完了させなければならない点は変わりません。最長でも10か月以内と短い期間で手続きを完了させなければならないため、効率よく手続きを完了させる必要があるでしょう。
相続が開始した際、相続人は以下の手続きを3か月以内に完了させる必要があります。
上記のなかで最も時間がかかるのが、相続方法の決定です。3か月以内に相続人を確定させると同時に、遺言書の有無を確認し、遺言書が無ければ相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
その際に、相続人となった人は次の3つの中から具体的な相続の方法を選択できます。
上記を3か月以内に選択するために、遺言書の有無を確認したうえで相続人を確定しなければならないのです。
相続人は遺産をすべてを受け継ぐか、すべて放棄するか、財産の限度額によって相続するかを決められます。その熟慮期間は、原則3か月と法律で定められています。もし3か月以内に決定できない場合は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所への申立で期間を延長しましょう。
3種類の相続の方法について詳しく解説します。
単純承認とは、預貯金や不動産などのプラスの財産と借金などのマイナスの財産をすべて相続することです。後述する限定承認と相続放棄を選択しなかった場合、自動的に単純承認したとみなされます。
限定承認とは、相続するプラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続することです。プラスの財産からマイナスの財産を引いた分が相続財産となります。
相続放棄とは、相続人としての権利を放棄し、プラスの財産もマイナスの財産も両方相続しないことです。預貯金や不動産はもちろん、被相続人が残した借金や未納の税金なども相続しません。
相続開始から4か月以内にしなければならないのが、所得税の手続きです。これは準確定申告と呼ばれており、相続の開始があったと知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。対象期間は、その年の1月1日から死亡した日までです。その期間に確定した所得金額および税額を計算して、申告と納税をします。
準確定申告をすべき被相続人の特徴は、以下のとおりです。該当する場合は、準確定申告の準備も進めましょう。
相続人が2人以上いる場合、各相続人が別々、もしくは連署によって準確定申告書を提出します。準確定申告書には、各相続人の氏名・住所・被相続人との続柄などを記入した付表を添付し、被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に提出してください。
相続開始から10か月以内に完了させる手続きは、次のとおりです。
それぞれの詳細を解説します。
相続人確定後に行うのが、相続財産の洗い出しです。財産に漏れがないようにすべて調査しましょう。
相続財産を明らかにしなければ、次に行う遺産分割協議と遺産分割協議書の作成に進めなくなります。あとから相続財産が見つかるなどの事態が発生すると、それまで進めていた遺産分割協議が白紙になってしまう恐れもあります。二度手間にしないためにも、相続財産は徹底的に調査しておきましょう。
遺産分割協議とは、相続人全員が相続財産の相続割合や相続方法を話し合いで決定することです。また、この話し合いによって決定した事項をまとめて書面にしたものを、遺産分割協議書といいます。期限はありませんが、相続税申告までに遺産分割を終わらせておかなければ、相続税の申告ができません。10か月以内に完了させてください。
遺産分割協議は、相続人全員で話し合いを行わなければなりません。最終的に合意が成立した際に、遺産分割協議書の作成に入ります。
作成には上記以外も記載できます。相続人自ら作成することもできますが、表現の仕方など難しい場合は司法書士に相談したほうが無難です。
銀行口座にある預貯金には相続の手続き期限はありません。ただし、10年間取引がない銀行口座は休眠預金となってしまい、民間公益活動に活用されてしまいます。休眠預金になっても引き出すことは可能ですが、引き出す場合は、金融機関での手続きが必要です。
手続きのためには3か月以内(金融機関によっては6か月以内)に取得した印鑑証明書を持参しましょう。なお、口座の名義人が死亡し、その死亡の事実を銀行が認識すると口座は凍結され一切の入出金ができなくなります。仮払い制度もありますが、口座の名義変更には必要書類の提出や手続きが必要です。早くても1か月程度はかかることを認識しておきましょう。
株式や証券などの相続財産については、手続きに期限はありません。ただし、被相続人名義のままだと、株式の売買ができなかったり、配当金が被相続人名義で入ってきたりと不都合が生じます。預貯金と同様に、ほかの相続手続きと一緒に名義変更をしておきましょう。
相続税の申告及び納税は、被相続人の相続財産の金額が相続税の基礎控除を超えた場合に納税の義務が生じ、その期限は相続発生から10か月以内です。万が一、申告期限を過ぎてしまった場合は延滞税が発生することもあります。申告期限に間に合うよう、遺産分割協議を完了させる必要があるのです。
相続開始から10か月が経過すると、いったん相続手続きはひと段落します。しかし、完全に相続手続きが終わったわけではありません。相続手続きのなかには、年単位で期限が設けられているものもあるためです。とくに忘れてはならない手続きとして、以下の2つがあります。
それぞれの詳細を解説します。
遺留分侵害額請求とは、配偶者や子どもなど、被相続人から見た場合に直系卑属・直系尊属にあたる相続人の最低限の遺留分を侵害している場合に、侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができるものです。この請求期限は、民法1048条にて定められており、遺留分を侵害していると知った時から1年間行使しない場合は消滅します。
また、相続開始から10年を経過したときも同様です。遺言書があったとしても、遺留分を侵害されている場合は請求可能です。
2024年4月から、不動産の相続登記が義務化されました。相続登記とは、不動産を取得した相続人が、相続を知った日から3年以内に登記申請しなければならないというものです。違反した場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
遺産分割で不動産を取得した場合も、遺産分割の内容に応じた登記が必要です。不動産登記の義務化は令和6年4月1日から開始され、義務化以降に発生した不動産の相続はすべて相続登記しなければなりません。また、義務化以前に相続した不動産であっても、相続登記がされていないものも令和9年3月31日までに登記する必要があります。
相続手続きにはそれぞれの期限があることを知り、期限内に手続きをすすめていきましょう。ただし、相続人が複数いる場合は、現金以外のものを平等に分けることは難しく、期限があるにもかかわらずもめることもあります。もし相続に不安を感じるのであれば、早いうちから専門家に相談してください。
はなまる相続は、相続に特化したサポート集団です。税務・相続・不動産の専門家が、争族につながらない幸せな相続をお手伝いします。土地活用から相続税対策まで、お気軽にお問い合わせください。
相続アドバイザー
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