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遺言書の正しい書き方を解説|自筆でも法律効果を発揮させるポイント


更新日: 2024 . 07.2

遺産相続において、遺言書は強い法的拘束力を持っています。遺言書の有無で、遺産相続におけるスムーズさが大きく変わると言っても、過言ではありません。一方で、遺言書は正しい書式が定められています。誤った書式の遺言書は法的な効力を持たないとして、内容が認められないケースも起こり得るため、注意が必要です。

本記事では、遺言書の正しい書式について解説します。法律効果を発揮させられる自筆の遺言書の書式を知り、来る遺産相続をスムーズなものにしましょう。

担 当
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紛争事案だけでなく、紛争予防のためのアドバイスも行います


弁護士

宮部 明典

[弁護士法人山下江法律事務所]

遺言書の書き方は自分で書くものと専門家が書くものの2種類

遺言書の書式は、自分で書くものと専門家が書くものの2種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言

大まかには、自筆証書遺言が自分で書く遺言書、公正証書遺言が専門家が書く遺言書です。単に誰が書くかの違いがあるだけでなく、メリットやデメリットもそれぞれ異なるため、双方について理解を深めてから書式を選ぶのがおすすめです。

なお、遺言の種類には、上記の他に秘密証書遺言があります。秘密証書遺言の場合、書くのは本人ですが、遺言書の存在は証人に確認されます。そのため、遺言書の存在が忘れられたり、なかったことにされたりなどのトラブル防止が可能です。ただし、秘密証書遺言を選択する人数は少なく、自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかを利用する人が多いです

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、自分の手で作成する遺言書のことです。本文、氏名、日付など、原則すべて遺言者本人が手書きする必要があります。代筆も認められないため、注意してください。ただし、財産目録は、2019年(平成31年)1月13日以降、パソコンや代筆を利用した作成が許可されています。

自筆証書遺言のメリットは、自分でいつでも作成できることと、内容を秘密にできることです。専門家に依頼するとなると、打ち合わせをしたり費用がかかったりなどのコストがかかり、気軽にいつでもとはいきません。しかし、自分で作成する場合はいつでも作成、修正が可能です。また、自ら遺言書の内容を教えない限り、自分以外に内容を知る人は発生しません。

デメリットは、作成や保管方法に注意が必要になることです。遺言書の作成時は、正しい書式をしなければ法的に無効となってしまいます。作成できたとしても、以下のトラブルが付きまといます。

  • 紛失した
  • 置き場所を忘れた
  • 盗まれた
  • 捨てられた
  • 書き変えられた など

また、開封時は改ざん防止のため、遺言書の保管者や相続人が家庭裁判所に検認を申請しなければなりません。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人が法的に有効な書式に沿って内容を記載し、作成する遺言書です。作成は公正役場で行い、被相続人が遺言の内容を公証人に口頭で述べて代筆してもらいます。その際証人は2人以上立ち会うため、公証人が勝手に内容を改ざんすることはできません。

公正証書遺言のメリットは、遺言書が適切な作成・保管をされることです。記載は公証人が正しい書式や単語で代筆するため、法的効力が発揮されないというリスクがほぼありません。また、遺言書は公証役場で保管されるため、紛失や盗難などのおそれもありません。開封時の家庭裁判所による検認も不要であり、煩雑な手続きなしで内容を確認できます。

ただし、書き残す際には公証人への依頼が必要となるため、時間や費用面でコストがかかる点はデメリットです。また、公証人であっても遺言書の内容を誰にも知られたくないと考える人には、適していません。

遺言書を法務局で保管する制度が2020年から開始

従来、自筆証書遺言は自分で保管するものでした。しかし、2020年(令和2年)7月10日より自筆証書遺言の原本と画像データを、法務局で保管してもらえる制度がスタートしました。そのため、自筆証書遺言を作成する場合は、制度を利用し法務局に預けておくのがおすすめです。ただし、法務局はどこでも良いわけではなく、遺言書保管所と呼ばれる法務局に限ります。2024年時点で全国に312か所あるため、自分にとって利便性の高い所を選びましょう。

本制度には、さまざまなメリットがあります。まず、自筆証書遺言のデメリットであった紛失や盗難、改ざんなどのリスクが大きく低減される点です。遺産相続が発生し、原本が返還されても画像データが残るため、後からの改ざんや紛失にも対応できます。それに伴い、改ざん防止に行われる開封時の検認も不要です。

また、相続人が後から保管場所を探したり、家庭裁判所に検認手続きをしたりといった手間も省けます。被相続人が亡くなった際、法務局に遺言書が保管されていれば、指定された人に対し通知が届くためです。加えて、提出時に法務局職員が遺言書の書式を確認してくれるため、無効な遺言書になりにくい点も魅力です。

法律効果がある遺言書の書き方|4つのポイントを押さえよう

法律効果を発揮する遺言書を書くには、正しい書式のポイントを押さえなくてはなりません。ポイントとは、以下の4つです。

  • 遺言書の全文を自筆で記載する
  • 遺言書を作成した日付を記載する
  • 署名と押印をする
  • 訂正する場合は訂正印を押す

自筆証書遺言を作成する際は、上記4点のすべてを満たしているかどうか、しっかり確かめましょう。一つでも抜けがあると、法的効力がないとみなされてしまう可能性があります。

遺言書の全文を自筆で記載する

遺言書は、全文を自筆で記載する必要があります。パソコンなどの電子機器での作成や、代筆は認められません。字は誰が見ても読めるように、丁寧かつはっきりと書きましょう。

遺言書の具体的な例文、およびひな形の見本として、以下の画像を参照してください。

一般的には、遺産を特定するために財産目録を添えておきます。記載例の文章中における、別紙1や別紙2が財産目録に該当します。自筆証書遺言において、自筆でなくても良いとされているのは、この財産目録のみです。他の文章はすべて自筆による本文と署名、執筆者本人の押印が要求されます。

遺言書を作成した日付を記載する

自筆証書遺言では、作成した年月日をはっきりと記載してください

年については、元号+年数でも、西暦の年数でも構いません。好きなほうを選びましょう。

日付は「6月14日」などの書き方が一般的ですが、同時に「末日」や「〇歳の誕生日」などの記載でも構いません。記載日が特定のどの日かが分かれば、法的に問題はないためです。ただし「吉日」などの表現は、日付が特定できないため避けてください。

もし遺言書に日付が無かったり、あったとしても自筆でなかったりする場合は、日付の記載なしとみなされ、遺言書が無効となってしまいます。

署名と押印をする

遺言書には、誰が作成したのかを示す証拠として、署名と押印が必要です。前述の記載例画像にもありますが、どちらか片方ではなく、必ず署名と押印両方を記載してください。

署名については、戸籍上の本名をはっきりと記載してください。ペンネームなど、公的書類に記載の無い名前は、本人確認できないため認められません。押印の印鑑は、認印でも構いません。ただし、スタンプ印は避けましょう。

また、財産目録のみパソコンなどでの作成が可能と前述しましたが、財産目録を自筆しない場合も目録ページに自筆による署名と押印が必要です。忘れないよう注意してください。

訂正する場合は訂正印を押す

一度作成した遺言書に対し、訂正する場合は訂正のうえ、訂正印を押しましょう。どこが訂正箇所なのか、どのように修正したのかもはっきりわかるよう明示するのが重要です。

また、内容に大きな変更が加わったり、何か所も訂正が発生する場合は、改めて書き直すのがおすすめです。何度も訂正を重ねた遺言書は、法的な問題がなかったとしても、遺産相続時に混乱を招きます。

遺言書の書き方に不安があるなら専門家に相談するのもおすすめ

遺言書の書式に不安がある場合は、専門家に相談するのもおすすめです。

自筆証書遺言にはさまざまなメリットがあります。一方で、書式が誤っており法的に受理されない、紛失するなどのリスクがつきものです。不安を抱えたまま無理に一人で作成するよりも、専門家に相談しつつ作成を進めたほうが、疑問などの解消にも繋がり、結果として時短になるでしょう。

特に「子供がいなくて、全財産を妻に相続したい場合(法定相続分を超えた相続)」や「日々変動のある現金や預金を相続したい場合」など、状況が特殊な場合は記載方法に迷う可能性が高くなります。正しい書式がわからないまま進めてしまうと、苦労して遺言書を作成したにも関わらず、法的に認められない遺言書ができあがってしまったというケースも起こります。迷ったら専門家への相談を検討してください。

相続の専門家を活用しながら安心できる遺言書を作成しよう

遺言書を作成する際は、相続の専門家を活用しながら、法的効力を発揮できるしっかりしたものを作成しましょう。遺言書は、遺産相続において強力な指針となるものです。遺言書の有無で遺産相続のスムーズさは変動し、しっかりした遺言書があれば、相続人の遺産相続は楽になります。

自分のイメージした通りに遺産を相続させるだけでなく、遺産を相続する相続人のためにも、遺言書は法的に認められるものを作成してください。そのためには、一人での作成にこだわるのではなく、相続の専門家と連携するのがおすすめです。

はなまる相続では、自筆証書遺言の書式をはじめ、遺産相続に関連するトラブル、お悩みに対し、オールマイティーに対応しています。シンプルに意見を聞きたいといった依頼から、実際に書類を作成して欲しいなどの実務まで、どのようなお悩みでもお気軽にご相談ください。


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