相続コラム はなまる知恵袋
遺言書の作成にかかる費用はいくら?専門家に依頼するメリットとは
更新日: 2025 . 02.2
相続コラム はなまる知恵袋
更新日: 2025 . 02.2
遺言書を作成する際、専門家に依頼したいと考える人は少なくないでしょう。自力での遺言書作成は、作成方法がわからなかったり、方法を間違えて効力を発揮しなかったりと、リスクや手間がかかるためです。ただし、依頼するのであれば、費用の話はつきものです。
本記事では、遺言書の作成にかかる費用や、専門家に依頼することで得られるメリットについて解説します。参考にして、スムーズかつ効果的な遺言書作成を実現してください。
弁護士
宮部 明典
[弁護士法人山下江法律事務所]
遺言書の作成費用は、種類によって異なります。遺言書の種類は、以下のとおりです。
費用以外にも、それぞれ異なる特徴があるため、選ぶ際は総合的な判断が求められます。
自筆証書遺言の場合、作成費用は0~7,000円程度です。内訳は以下のとおりです。
合計で、およそ7,000円程度が目安です。
財産に対する証明書は、不動産の登記事項証明書などが該当します。財産目録の作成時、実費として必要です。遺言書保管制度とは、法務局が自筆証書遺言の原本を保管してくれる制度です。紛失や改ざんなどのトラブル防止に便利ですが、利用するかどうかは任意であり、強制ではありません。
他の遺言書と比較した際、コストの安さでは、自筆証書遺言がもっとも優れています。証明書が必要な財産がなく、保管制度も利用しない場合、0円での作成も可能です。ただし、作成の手間がかかったり、書き方を間違えると法的効力をなくしたりするリスクもあるため、注意が必要です。
公正証書遺言とは、公証人が作成してくれる遺言書のことです。費用の内訳は以下のとおりです。
遺産総額次第で金額は変化しますが、遺産額が1,000万円以上だった場合、総額10万円〜25万円前後が目安です。
なお、上記はあくまで作成のみに対する費用です。遺言書の内容も相談したいという場合、別途料金がかかります。
費用面では、公正証書遺言がもっとも高額です。しかし、ミスのない遺言書を作成してもらえるため、確実性も保証されています。
秘密証書遺言とは、自力で作成し、公証人に遺言書の存在を確認してもらう遺言書です。
費用の内訳は以下を参照してください。
総額の目安は11万円程度です。
作成自体は自筆証書遺言と同じ手順であるため、費用がかかりません。そのため、公正証書遺言よりは安くなります。一方で手数料などはかかるため、自筆証書遺言よりは費用がかかるのも事実です。
秘密証書遺言は、公証人にも内容を伏せておきつつ、遺言書の存在を確実にしてもらえるメリットがあります。そのため、誰にも内容を知らせたくない人に適しています。
遺言書の作成を専門家に依頼する場合、具体的な依頼先が以下のどれなのかによって、費用相場が変動します。
重要なのは、費用面だけでなく、信頼性やその他のサービスなどを踏まえて判断することです。
なお、依頼先に関わらず、自筆証書遺言よりも公正証書遺言のほうが高額になる傾向にあります。公正証書遺言は、公証人との打ち合わせ代などが含まれているケースがあるためです。
弁護士に遺言書の作成を依頼する場合、一般的な相場は10万円〜50万円前後です。
ただし、遺産額が大きい場合や遺言書が非定型の場合は、より高額になるケースもあります。弁護士の報酬額には現在規定がないため、契約前に見積をもらいましょう。
弁護士は、遺産相続の紛争に関連するアドバイスが可能であり、それを踏まえた遺言書を作成してもらえます。ただし、費用が高額になりやすいというデメリットもあります。
司法書士に作成を依頼する場合、8万円〜25万円前後が一般的な相場です。弁護士よりは安いですが、後述する行政書士よりは数万円程度高くなる傾向にあります。
司法書士は弁護士と異なり、遺産相続のトラブルに対し、アドバイスなどはできません。そのため、費用が弁護士よりも安価になる傾向にあります。
依頼先が行政書士の場合、一般的な相場は5万円〜20万円前後です。司法書士と同程度か、数万円程度安価な傾向にあります。
費用面だけで考えると、行政書士がもっとも良いように思えますが、遺言書の作成は個人間での相性や信頼性も大切です。費用だけに着目して依頼先を考えるのではなく、人柄やもめごとになった場合のリスクなども検討しましょう。
銀行の場合は「遺言信託」というサービスを利用することになります。遺言書の作成だけでなく、保管、執行までトータルで任せられるサービスです。
一方、遺言書の作成~執行までを一括で依頼するため、費用相場は130万〜150万円前後と高額になります。具体的な内訳は以下になります。
上記の額は、あくまで目安です。遺産額が高くなると、手数料も高くなるため、人によってはより高額になるケースもあります。
遺言書の作成を専門家に依頼すると、以下3つのメリットが得られます。
そのため、費用はかかったとしても無理に自分だけで作成せず、専門家に依頼することをおすすめします。
専門家に依頼することで、遺言書作成の手間が省けます。
法的に有効な遺言書をすべて自力で作成するには、手間がかかります。特に慣れていない人は、さまざまなことを調べながら進める必要があるため、スムーズにいかないのが一般的です。
専門家に依頼すれば、上記のような作成にかかる手間を省けます。初回は打ち合わせが必要ですが、後はほぼすべて任せてしまえるため、自分にかかる負担が大きく軽減します。
専門家に依頼すると、法的に有効な遺言書を必ず作成できます。
遺言書はどう書いても良いというものではなく、書き方が定められています。書式のルールから外れた遺言書は、法的に有効とみなされないケースがあるため、注意が必要です。
自力で遺言書を作成した場合、どこかにミスが発生し、結果として無効とみなされてしまうリスクがあります。すると、手間をかけて作成した時間が無駄になるだけでなく、遺産の今後を改めて協議しなければなりません。
専門家に依頼すると、そういったミスはなくなるため、遺言書が確実なものとなります。
トラブル対策が事前にできるのも、専門家に依頼するメリットです。
例えば、遺産の全てをたった一人に相続させるなど偏った内容の遺言書は、遺留分侵害額請求という形で他の相続人が遺産を請求するケースもあります。
専門家に依頼すると、無用なトラブルが起こらない内容になっているかどうかなどが、事前にわかります。結果として、実際に相続が開始されてからも、スムーズに相続処理をすすめられるのです。
自分で遺言書を作成する場合は、以下の点に注意してください。
前述しましたが、これらの注意点は、自力で遺言書を作成する際につきもののリスクです。
遺言書は、遺産相続をスムーズにするための書類です。無効になってしまったり、揉め事の種になってしまうと、元も子もありません。ミスが起こらないよう、丁寧に作成しましょう。
自力で作成した遺言書は、法的に無効となるリスクがあります。具体的には、以下のいずれかに該当する場合です。
遺言書は書き方が細かく定まっています。小さいミスでも大きな影響を与えるため、作成時は細心の注意を払いましょう。
また、遺言者が認知症などの理由から判断能力を失っている場合、遺言書は作成できません。自筆証書遺言の作成は手書きが原則であり、代筆も認められていないため、誰かが代わりに作成することも不可能です。身体的な理由から手書きができない場合は、公正証書遺言で作成することになります。
遺言書の内容によっては、相続人同士のトラブルが起こる可能性があります。
遺言書は、遺産相続において強い法的効力を持っていますが、100%絶対的なものではありません。内容が偏っている場合は、遺留分侵害額請求という形で、他の相続人が遺産を請求するケースもあります。
遺留分とは、法的に最低限相続できると定められている分の遺産です。偏った遺言の場合、遺留分が侵害されているとして、遺留分侵害請求を起こされる可能性があります。この請求は遺言書の法的効力よりも強いため、無視することはできません。
実際に相続が始まってからトラブルが起こった場合、相続手続き以前にトラブルの収束に追われてしまいます。結果として、相続人の負担が余計に大きくなってしまいます。作成時だけでなく、後のことも考えて遺言書を作成しましょう。
遺言書の作成に迷った際は、はなまる相続にご相談ください。
はなまる相続には、各種遺産相続業務の専門家が在籍しており、遺言書の内容相談から作成まで、トータルでお任せいただけます。また、実際に相続が始まってからの各種手続きも依頼可能であるため、お客様の負担を最小限に抑えて相続を進められます。
まずはご相談だけでも構いません。お気軽にご連絡ください。
弁護士 宮部 明典 Akinori Miyabe
相続問題こんなお手伝いが可能です
相続をしてもらう人の意思を尊重します
紛争を避けるための遺言書の作成。紛争の恐れのある遺産分割協議での代理交渉からの協議書の作成。相続人不存在の場合の対応。遺言執行のお手伝い。
弁護士
加藤 泰
Yasu Kato
遺言・民事信託・遺産分割協議の対応
紛争事例処理の経験を活かして、遺言・民事信託などの生前対策から・相続紛争の対応まで相続のあらゆる場面でみなさまをサポートいたします。
相続アドバイザー
大野 博満
Hiromitsu Ono
相続手続き丸ごとサポート
はなまる相続のメンバーと連携し、相続人確定や財産調査、しなければならない手続きの洗い出しから預貯金等の現金化など、相続のお手続きをサポートいたします。
© 2025 一般社団法人はなまる相続