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相続コラム はなまる知恵袋

不動産を相続する流れや税金を解説|不安や疑問は専門家に相談を


更新日: 2024 . 05.16

遺産相続において不動産の扱いに悩む人は、少なくありません。現金の相続とは異なり、分割が困難で相続人同士での話し合いが難航したり、不動産特有の手続きが必要になったりするためです。相続予定の遺産の中に不動産が混じっている場合は、相続が始まってしまう前に相続手続きや扱いの方針などを決めておくのがおすすめです。

本記事では不動産を相続する際の手続きや、分割方法などを解説します。参考にして、スムーズな不動産相続を実現してください。

担 当
津田真実のプロフィール写真

不動産の問題解決と資産価値向上の専門家です


不動産コンサルタント(相続対策専門士)/宅地建物取引士

津田 真実

[株式会社リアルブレーン]

不動産を相続するまでの流れ

不動産の相続が開始されてから、完了するまでのおおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 遺言書の確認
  2. 相続人の確定
  3. 財産目録の作成
  4. 遺産分割協議
  5. 不動産の相続登記
  6. 相続税の申告と納付

原則上から順に行う必要がありますが、注意すべきはステップ6に締め切りが設けられている点です。ステップ6の相続税の申告と納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に終えなければならないと定められています。

遺産相続の手続きは、慣れない人には煩雑で時間がかかるものです。一方で期限までの時間は有限であるため、スピード感を意識した行動が必要です。

1.遺言書の確認

相続が始まったら、遺言書の有無を確認します。遺言書は被相続人が遺産の扱いを自ら記載したものであり、遺産相続において強い効力を持っています。後から見つかってしまうと、協議や手続きが振り出しに戻ってしまうケースもあるため、ないと思い込まず探してみましょう

保管場所はさまざまであり、被相続人本人が持っている場合もあれば、誰かに預けている場合もあります。公正役場と法務局には、遺言書を預けられるシステムもあるため、探す際は忘れず確認してください。

なお、秘密証書遺言と遺言保管所にない自筆証書遺言は、見つかってもその場で開封してはいけません。他者による改ざんを防止するため、開ける前に家庭裁判所で検認手続きが必要です。

2.相続人の確定

遺言書の確認が終わったら、相続人を確定させます。遺言書がある場合は指定された人が相続人となりますが、遺言書が無い場合は遺産分割協議で決定しなければなりません。

協議の前に、遺産を相続する権利がある人をはっきりさせるため、被相続人の誕生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて、親類縁者を漏らさず把握します。次に、以下の優先順位から法定相続人に該当する人を確定させます。

【法定相続人の優先順位】

1位:直系の子孫

2位:直系の尊属

3位:兄弟および兄弟の子孫

*配偶者はいかなる場合も法定相続人にカウントされる

法定相続人は1位の人間が最優先され、1位がいなければ2位、2位がいなければ3位というように決まります。また、配偶者はいかなる場合でも法定相続人です。

3.財産目録の作成

遺産の相続が発生したら、財産目録も作成します。すべての遺産を目録にまとめることで、相続がスムーズになります。また、遺産分割協議もスムーズになるため、タイミングとしてはステップ2の相続人決定と同時に進めておくのがおすすめです。

遺産内に不動産が入っているかどうかは、郵便からわかります。不動産を所有している場合、毎年4~5月に市区町村から固定資産税の課税明細書が届いているはずです。

なお、固定資産税の税金額は、所有している不動産の分が合算され、通知されます。明細書が1通だからといって不動産の数が1件とは限りません。必ず内容を確認してください。

4.遺産分割協議

法定相続人とすべての遺産が確認できたら、遺産分割協議に進みます。遺産分割協議とは、実際に誰が何をどれだけ相続するかを決定する話し合いです。

遺産分割協議は、決定に対し相続人全員の合意が必要です。そのため、協議の際は原則相続人全員を集める必要があります。都合がつく人だけで結論を出したとしても、法的には認められません。協議そのものに締め切りはありませんが、長引くと各種手続きが間に合わなくなる可能性もあります。スケジュールの調整が厳しくても、できる限り早めに終わらせる意識を持ちましょう。

5.不動産の相続登記

不動産が相続財産に入っていた場合、不動産の相続登記を行い、名義を相続人に変更する必要があります。相続登記は2024年(令和6年)4月1日より義務化されたため、不動産を相続する際は必須の手続きです。

相続登記の際は、被相続人と相続人の戸籍謄本や固定資産証明書など、必要書類を揃えて提出します。手間を考慮して、早めの相続登記を心がけましょう。

なお、不動産によっては長期間相続登記が滞っているケースもあります。その場合、今まで名義人が変わった回数だけ相続登記の手続きを繰り返す必要があるため、手間がさらに増えてしまいます。自分の手に負えないと感じたら、プロに相談するのもひとつの方法です。

6.相続税の申告と納付

最後に、不動産に対する相続税の申告と納付を行います。前述しましたが相続税の申告と納付には期限があります。カウントは、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。期限を破ってしまうと、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課されるケースもあるため、できるだけ早く手続きを終えてしまいましょう。

なお、相続税には非課税となる基礎控除枠が設けられています。不動産を含むすべての相続財産の評価額が非課税枠に納まれば、相続税の支払い義務はありません。しかし、基礎控除額は相続人の人数や特例の適用有無などの条件で変化します。自分に支払い義務が発生するかどうかは計算して確認する必要があります。

複数人で不動産を相続する4つの方法

不動産は、現金と異なって複数人で分けるのは困難です。どうしても分けたい場合、方法はいくつかあります。具体的には、以下の4つです。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 共有名義

重要なのは、相続人同士で合意できる分割方法を探すことです。どの方法もメリットとデメリットがあるため、両方を踏まえて自分達にとって最適な方法を選びましょう。

 

現物分割

現物分割とは、不動産を人数分に分けて相続する方法です。

現物分割 イメージ

メリットとしては、相続する財産が相続人同士で同じになるため、平等感が強く不満が出にくいことです。

デメリットは、現物分割できないケースもある点です。「土地が小さすぎる」「分けることで著しく価値が下がる」「土地ではなく建物物件の不動産である」など、分けられない状況もあり得ます。

そのため、相続する不動産が土地であり、分けても価値が大差ないとされる物件で、問題ない程度の大きさがある際におすすめです。

代償分割

代償分割とは、不動産を分けず誰か1人が相続することとし、不動産を相続する相続人は不動産の代わりにお金を分配する相続方法です。

代償分割 イメージ

代償分割は、不動産が住居などである場合におすすめです。実際にそこに住む人を相続人とし、他の相続人はお金という形で財産を受け取るのです。すると、不動産の相続人は住居を自分で利用でき、他の相続人は自分が住めない住居の代わりにお金を受け取れて、双方が納得しやすい形になります。

一方で、不動産の価値によって分割の成功が左右される点はデメリットです。誰にとっても運用しづらい不動産であったり、不動産の価値より支払う金額の方が大きいと判断されたりすると、誰も相続人にならず話が納まらないこともあり得ます。

換価分割

換価分割とは、不動産を売却してしまい、お金に替えてから相続人同士で分け合う相続方法です。

換価分割 イメージ

換価分割は現物分割同様、相続人全員が同じ財産を貰えるため、平等感が強く納得しやすい点が魅力です。また、不動産と異なりお金は人数分に分けられるため、土地の状況に左右されない点もメリットです。

ただし、売却した不動産は以後完全に他人の物になってしまいます。不動産という形では財産を保てない点がデメリットとなるため、誰も不動産を活用しない場合におすすめです。

共有名義

共有名義とは、名義人を複数人にして不動産を相続する方法です。

共有名義 イメージ

共有名義のメリットは、公平感が強いことに加え、不動産が収益を生み出す場合に収益を分配できる点です。相続時だけでなく、将来的にも公平感を維持できるため、後から不満が出るリスクを抑えられます。

しかし、将来売却したいと思ったときや運用について自分だけでは決められないというデメリットも生じます。また、運用の手間などは平等にしづらいため、常に公平な状態を保てるとは一概に言えません。さらに、共有名義での相続を繰り返していくと、名義人の人数が増えていき意見や持分の細分化に繋がってしまいます。

そのため、相続人同士で連携が取れる状態の際におすすめの方法です。一方で、相続人同士がなかなか集まれない、運用の負担などが偏りそうなどの場合は避けた方が良いでしょう。また、専門家の立場でいうと不動産の共有は遺産分割という問題の先送りにすぎないということも付け加えておきます。

相続した不動産の名義変更をする2つの方法

相続した不動産の名義変更を行うには、以下2つの方法があります。

  • 必要な書類を自分で取りそろえて法務局に提出する
  • 司法書士に依頼する

端的に述べると、すべて自分で行うかプロに任せるか、どちらかです。前述のとおり2024年4月1日より相続登記が義務化されたため、必ずどちらかを選び手続きを終わらせる必要があります。

名義変更は締め切りがあるため、自分でできないと感じたらプロに任せましょう。

必要な書類を自分で取りそろえて法務局に提出する

自分で名義変更の手続きを行う際は、必要書類を自分で取り揃え、法務局に提出する必要があります。具体的に必要な書類は以下のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産を相続する人の住民票
  • 登記申請書

具体的な提出先は、不動産の所在地を管轄としている法務局です。

提出方法は直接提出、オンライン、郵送の3種類がありますが、もっともおすすめなのは直接提出です。提出時点である程度書類に目を通してもらえ、記入漏れなどのミスをその場で訂正しやすいためです。一方で、オンラインは専用のソフトが必要になるため、あまりおすすめはできません。

また、名義変更の際は書類取得の費用と、登録申請時の登録免許税がかかります。登録免許税額は、不動産の固定資産税評価額×0.4%です。不動産によって費用が変化するため、手続き前に計算し支払い準備をしておいてください。

司法書士に依頼する

自分でできそうにないと感じた場合は、司法書士に依頼しましょう。司法書士に依頼すれば、書類の取り寄せから記入、提出まで一連の作業をすべて任せられます。

特に状況が複雑であったり手続きを急いだりする場合は、司法書士に任せるのがおすすめです。不動産や相続人の数が多い、不動産の名義変更が複数回必要である、相続税申告の締め切りが迫っているなど、特殊な状況下での名義変更の手続きは、慣れない人には困難です。

一方で、依頼の際は依頼料がかかることも忘れてはいけません。依頼料の相場としては、5~15万円が一般的ですが、状況によっては上乗せになるケースもあります。初回相談は無料としている事務所も多いため、まず見積を頼んでから検討するのもひとつの方法です。

相続した不動産を売却すると譲渡所得税と印紙税がかかる

相続した不動産を売却する際は、譲渡所得税と印紙税がかかる点にも注意しましょう。譲渡所得税とは、売却して出た利益に対してかかる税金です。印紙税は、不動産売却時に必要な売買契約書を作成する際にかかる税金です。

さらに、不動産を売却する際不動産会社に仲介を依頼した場合は、仲介手数料と消費税もかかります。不動産を売却する際は、利益だけでなく支払いのことも想定しておくのが大切です。

不動産の相続は専門家に相談を

不動産を相続する際は、専門家に相談しましょう。不動産の相続手続きは煩雑かつ手間がかかるため、慣れない人が自力で行うのは困難です。

はなまる相続では、不動産の相続を含む相続の手続きをトータルサポート致します。手続きを代行して欲しい、何をすれば良いかわからない、相続税の計算が不安など、相続のことでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


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