相続コラム はなまる知恵袋
相続税の手続きは税理士に相談を|相続に関わる専門家の対応業務とは
更新日: 2024 . 09.1
相続コラム はなまる知恵袋
更新日: 2024 . 09.1
遺産相続において、避けて通れないのが相続関係の手続きです。しかし、実際に当事者だけですべてを処理するのは困難です。専門家に任せようにも、何度も経験することではないため、誰に何を依頼すべきかわからない人が少なくありません。
この記事では相続税の手続きに重点をおきつつ、相続に関わる処理の依頼先や、それぞれの対応可能な業務について解説します。遺産を相続する予定があり備えておきたいという方、被相続人の立場として、相続人が困らないよう遺産相続の助言を残しておきたい人は、ぜひ参考にしてください。
税理士/宅地建物取引士
棚田 秀利
[棚田秀利税理士事務所・相続税申告相談プラザひろしま]
税理士は相続に関するすべての手続きを引き受けることはできず、処理できる手続きとできない手続きがあります。
具体的にいうと、税理士が引き受けられる手続きは相続税申告と被相続人の所得税の準確定申告のみです。他の手続きは税理士の業務範囲外であるため、それぞれ他の専門家に任せることになります。
なお、遺産相続が発生したからといって、相続税の申告が必須と決まったわけではありません。相続税の申告が必要なのは、以下の条件に当てはまる場合です。
相続発生後、「自分はそういう家じゃないから相続税の申告義務がない」と思い込まず、まずは本当に相続税の申告義務がある状態なのか、相続の経験豊富な税理士に相談してみましょう。そして、もし申告義務があれば相続の経験豊富な税理士に依頼しましょう。
相続税の手続きを税理士に依頼する場合の費用相場は、遺産総額の0.5%~1.5%です。依頼者全員一律ではなく、被相続人の財産状況によって大きく変動します。仮に遺産総額が5,000万円だった場合、税理士の費用はだいたい25万円~75万円ほどです。依頼料を概算する場合は、まず遺産総額を確認して計算してみてください。
ただし上記はあくまで相場であり、ルールとして決まっているわけではありません。そのため、税理士によって相続税申告費用はまちまちなので、事前に見積を取る必要があります。
また、以下のような状況では、依頼料が相場より高くなる傾向があります。
上記に当てはまる場合は、相場の額を計算したうえで、依頼料が多少相場を上回ることを想定しておくのがおすすめです。
相続の手続きは、税理士以外に弁護士や司法書士なども関わります。具体的に関わる、以下の4つの士業について解説します。
ただし遺産相続をするからといって、必ずしも全士業に依頼が生じるとは限りません。自分の悩みに対応した依頼先を選び、相続がスムーズに済めば、結果として依頼先が士業ひとりになる場合もあります。
弁護士は「遺産相続におけるトラブルのプロ」と呼ばれ、実際に依頼できることも多岐に渡ります。具体的には、以下のようなことが依頼できます。
各種手続きを依頼できるという意味でも頼れますが、弁護士が特に必要とされるのは、遺産相続で相続人同士が揉めてしまった場合の仲介役です。
遺産相続において遺言書がない場合、相続人同士で協議して遺産の行方を決定する必要があります。しかし、遺産相続の各種手続きには締め切りがあるものも多く、いつまでも協議を続けるわけにもいきません。その際に間に入り、交渉を進めてくれる存在が弁護士です。
手続きだけでなく、手続き以前の段階で相続が難航しそうと感じた場合は、弁護士に相談してみることをおすすめします。
税理士は、税に関わる問題で頼りになる存在です。具体的に依頼できることは、以下を参照してください。
前述したとおり、税理士に依頼すべき主な手続きは、相続税の申告です。基礎控除額の超過や特例の適用などで、相続税の申告が必要になった場合は、税理士に相談しましょう。
「相続税の申告が必要かどうかが、そもそも判断できない」という場合でも、ひとまず税理士に相談して構いません。相続税はかからないと勝手に予想して、後から税務署により相続税の納付が必要とわかると、無申告加算税の負担など余計なトラブルの元になってしまいます。明確に相続税の申告が必要な人だけでなく、相続税申告に関しての確証が欲しいという人も、税理士に相談してください。
司法書士は、遺産相続において不動産関連の依頼を任せられる専門家です。具体的に依頼できることは、以下のとおりです。
相続する遺産の中に不動産があった場合は、司法書士への手続き依頼を考えておきましょう。
特に2024年4月1日以降は、不動産の相続登記が義務化されます。今までは名義が故人のままの不動産もありますが、今後そのような状況は許されません。相続財産に不動産があると判明した時点で、早めに司法書士に相談するのをおすすめします。
行政書士は、国や役所に提出する書類の作成や各種手続きに対する専門家です。遺産相続において行政書士に頼めることは、以下を参考にしてください。
行政書士への依頼がおすすめとなるのは、遺産相続がシンプルかつスムーズであるケースです。遺言書があって相続に関する揉め事がなく、不動産もなければ相続税の支払いもない、という場合は、基本的にすべての手続きを行政書士に任せられます。
ただし、行政書士は遺産相続だけの専門家ではありません。示談書の作成や契約書の作成など、行政書士の業務範囲は多岐に渡ります。そのため、場合によっては「遺産相続のことは詳しくない」と依頼を断られたり、別の行政書士を紹介されたりということもあり得ます。
そのため相談の際は、あらかじめホームページや電話などを利用し、遺産相続関連の依頼が可能かどうか確かめておくのがおすすめです。
遺産相続に関する手続きは、期限が決まっているものも少なくありません。そのため、遺産相続が発生したとわかった時点で、できる限り早く対応する必要があります。
特に重要なものは、以下のとおりです。なお、期限は全て相続発生日より計算するものとします。
上記は特に主要なもののみであり、実際に遺産を相続する際は、他にも多くの手続きを処理することになります。期限付きのものも多いため、考えるべきことを考えつつ、迅速な決定と行動を心がけましょう。
もし期限を過ぎてしまった場合、以下のようにペナルティが課されることもあります。
ポイントは行動を起こす前に、どのような手続きが必要でいつが締め切りなのか、整理しておくことです。そのうえで締め切りの近いものから進めていき、自力での処理が困難と感じた手続きは、適した専門家に処理を依頼するのがおすすめです。
遺産相続の手続きは総じて複雑で、手間がかかるものです。また、大切な人が亡くなってしまった悲しみで、思うように行動できないというケースも珍しくありません。そのため以下にあてはまる人は、遺産相続の際に無理に自力で解決しようとせず、専門家に任せるのがおすすめです。
実際の所遺産相続の手続きは、時間との勝負という側面もあります。手続きそのものも慣れていない人には難しいですが、手続き前に決定することや、算出が必要な数字などが出てくるため、トータルで考えると長い時間と大きな労力が必要になるのです。
自分では手に負えないと感じたら、無理をせず専門家に任せましょう。
遺産相続の手続きは複雑であり、自力ですべてを済ませるのは困難です。手続きだけでなく、故人を失った悲しみや他の相続人との話し合いなども加わると、疲弊してしまっても無理はないでしょう。しかし、無理に自分だけで解決する必要はありません。専門家の力を借りることで負担が減るだけでなく、手続きや計算、状況整理がより的確なものになります。いくらか費用がかかったとしても、手続きの手間を考慮すると、任せてしまうのがおすすめです。
はなまる相続では遺産相続のトラブルやお悩みに対して、お客様をサポートできます。
本記事では税理士に焦点をあてて解説しましたが、はなまる相続には各種相続手続きの専門家が揃っています。遺産相続での協議調整や不動産の処理など、税理士の管轄外の依頼も受付可能です。個別に相談する必要はなく、はなまる相続内でワンストップの対応が可能で、依頼の手間を簡略化してお客様の負担を減らせます。相続税のことでお困りの方だけでなく、遺産相続に関連したお悩みや依頼があれば、お気軽にお問い合わせください。
税理士
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