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相続の手続きは自分でできる?専門家に依頼するケースの見極め方


更新日: 2024 . 09.1

相続が発生すると、故人の残した財産を相続人に引き継ぐための手続きが必要です。手続きには、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成、相続登記など、複雑で専門的な知識が必要となる場面も多くあります。

「それほど大きな遺産じゃないから、相続手続きは自分たちだけでやれるかも」
「弁護士や税理士に頼むのは敷居が高いな…」
「可能なら自分でやってみようか…?」

相続税にいくら必要かわからないため、専門家への費用をできる限り抑えたいと考える方は少なくありません。

そこで、この記事では、相続手続きを自身で行う場合と専門家に依頼した場合を比較します。一般的な相続手続きの流れや自分で手続きした場合のメリット・デメリットも紹介するので、ご自身で相続手続きすべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

担 当
大野 博満のプロフィール写真

「相続対策」「相続手続き」の専門家です


相続手続サポートセンター長

大野 博満

[セブン合同事務所/相続手続サポートセンター広島]

相続の手続きは自分でできる場合と難しい場合がある

相続手続きは、ケースによっては自身で完結できる場合もありますが、専門家のサポートが必要となるケースも少なくありません。まずは、自分で手続きできる場合と専門家に相談したほうがよいケースを比較してみましょう。専門家に相談したほうがよいケースでは、7つの事例を紹介しています。ご自身に当てはまるかを一度検討してみましょう。

自分でできるケース

一般的に、相続手続きを自身で進めやすいケースは以下の通りです。

  • 相続財産が預貯金や株式など、比較的シンプルな場合
  • 相続人が配偶者と子供のみなど、少人数かつ関係が良好な場合
  • 相続人全員が手続きに協力的な場合
  • 相続する不動産がなく、相続登記が不要な場合
  • 時間的に余裕があり、何度も役所や手続き先にに通える場合

相続内容がシンプルで手続きも簡単な場合は、自分で相続手続きを進めてもよさそうです。必要な手続きや書類を事前にしっかりと把握しておけば、そこまで難しくはないでしょう。ただ、書類収集や役所に足を運ぶのに手間ひまがかかるため、根気強く対応でき、時間に余裕がある方におすすめします。

専門家に相談したほうがよい7つのケース

以下のようなケースでは、相続手続きが複雑化するため、専門家のサポートを受けるとよいでしょう。

  • 相続人が配偶者と子ども以外にいる場合
  • 相続人同士の仲が悪い場合
  • 相続登記を放置していた不動産がある場合
  • 特殊な遺産分割が必要な場合
  • 急いで相続登記をする場合がある場合
  • 遠方の不動産を相続する場合
  • 保管期間を過ぎた書類が必要な場合

ご自身の状況と照らし合わせて確認してみましょう。

相続人が配偶者と子ども以外にもいる場合

兄弟姉妹や甥姪など、法定相続人が複数いる場合は、遺産分割協議が複雑化する可能性があります。また、相続人の中に未成年者や行方不明者がいる場合、手続きがさらに複雑になるでしょう。準備しなければならない書類の種類が格段に増える、合意までに時間がかかるなど、個人で手続きを進めるには負担が大きいため、専門家のサポートをおすすめします。

相続人同士の仲が悪い場合

相続人同士の仲が悪い場合、必要な書類の収集や遺産分割協議がスムーズに進まない可能性があります。相続手続きが停滞するだけでなく、相続が「争族」に発展するケースも少なくありません。遺産をめぐって争いが起きる前に、専門家に依頼するとよいでしょう。弁護士などの専門家が間に入ることで、冷静かつ客観的な立場から、遺産分割協議をまとめてもらえ、万が一訴訟に発展しても対応できるでしょう。

相続登記を放置していた不動産がある場合

相続登記は「不動産の名義を故人から相続した人に変更する」手続きで、2024年4月1日より義務化されています。相続が発生した日から3年以内に相続登記しない場合は、10万円以下の過料の対象です。また、相続登記をしていないと、権利関係が複雑になり、権利保有者が増え続ける、不動産の売却ができないなどのデメリットがあります。さらに、手続きのための戸籍謄本を入手するのが大変だったり、固定資産税を誰が支払うのか?と対応が複雑です。登記関係は、手続きが煩雑なため、専門家に依頼するとよいでしょう。

参照:法務局|相続登記の申請義務化について

特殊な遺産分割が必要な場合

相続財産に不動産が含まれているなど、分割が難しい財産がある場合は、現金や預金のみの相続に比べて複雑になりがちです。ほかにも、農業や事業に利用している事業用不動産、法人経営を引き継ぐための非上場株式なども、分割が難しい財産の一例です。遺産分割協議が難航すると、家庭裁判所へ調停の申立にまで発展する場合もあります。その前に、専門家のアドバイスを受けながら、適切な分割方法を検討するとよいでしょう

急いで相続登記をする必要がある場合

不動産の売却代金を相続税の納税に充てたい場合や、不動産会社から催促されている場合などは、相続登記を迅速に済ませる必要があります。個人でひとつひとつ調べて対応するのに比べると、専門家は迅速かつ確実な手続きが期待できます。ただし、依頼する専門家によって対応速度は異なるため、事前に確認しておきましょう。

遠方の不動産を相続する場合

現在相続登記は、管轄の法務局でしかできません。管轄法務局へオンライン申請・郵送での申請などできるようになっていますが、システムが必要ですし、郵送の場合は万一記載誤りがあった場合の対応に苦慮するので、一般の方には不向きと思われます。不動産が遠方にある場合、現地での手続きが難しい場合は、専門家に代理で手続きを依頼するとよいでしょう。ただし、別途費用が発生する場合もあるため、注意が必要です。

保管期間を過ぎた書類が必要な場合

相続手続きに必要な書類の中には、役所での発行に時間がかかるものや、保管期間が過ぎていると再発行が難しいものもあります。遺産相続の手続きに必要な書類は永久保管ではないため、廃棄されている場合もあるのです。このようなケースでは、専門家に依頼することでスムーズな書類収集が期待できます。

土地や建物の相続手続きを自分でやる場合の一般的な流れ

土地や建物の相続は、相続手続きが煩雑です。ここでは、自分でやる場合の一般的な手続きの流れを紹介しましょう。大きく分けて以下の5つのステップで進みます。

  1. 被相続人の戸籍に関する書類を集める
  2. 相続人を確定させて必要な書類を集める
  3. 相続財産を特定する
  4. 遺産分割協議書を作成する
  5. 登記申請書を作成して申請する

それぞれ順に見ていきましょう。

1. 被相続人の戸籍に関する書類を集める

相続の手続きには被相続人の戸籍謄本が必要です。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本として、除籍謄本や改製原戸籍謄本も含みます。これにより、被相続人の両親、兄弟姉妹、結婚歴、子どもなどの情報が確認できます。親族が知らなかった婚外子や養子が発覚する場合もあり、法定相続人が増えるケースもあるのです。戸籍謄本は、原則として本籍地や住所地の市区町村役場で取得しますが、現在は戸籍の広域請求も一部の戸籍については可能です。詳しくは最寄りの市区町村役場にお問い合わせ下さい。

2. 相続人を確定させて必要な書類を集める

被相続人の戸籍に関する書類から、相続人を確定させたのち、相続登記に必要な書類を集めていきます。自分で相続登記する場合は以下の書類が必要です。

  • 被相続人の戸籍・除籍・原戸籍等
  • 被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
  • 法定相続人の戸籍謄本
  • 法定相続人の住民票
  • 法定相続人の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 収入印紙

集めた戸籍等の書類をもとに、誰が相続人になるのかを確定させます。

3. 相続財産を特定する

故人の財産を洗い出し、相続財産を特定します。遺産には、プラスの財産(預貯金、不動産、株式など)だけでなく、マイナスの財産(借金、ローンなど)も含まれる点に注意が必要です。そのために、土地や建物の所在地や面積、権利関係を特定するための書類(登記事項証明書、権利証、固定資産税納税通知書、土地の名寄帳など)を取り寄せましょう取り寄せを行う際には、戸籍等一式が必要になる場合があります。

4. 遺産分割協議書を作成する

遺言書がない場合は遺産分割協議にて遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議とは、相続財産をどのように分割するか、相続人全員で話し合うことです。遺産相続に関して、全員の合意を得た結果を遺産分割協議書に明記します。遺産分割協議書に書くべき項目は、相続財産の一覧、各相続人の相続分、遺産分割の方法などです。作成後には、相続人全員が署名捺印しますが、手続き先で手続きができる内容の書面にしなければなりません。

5. 登記申請書を作成して申請する

相続財産に不動産が含まれている場合は、相続登記の申請を行います。相続登記とは、不動産の所有権を被相続人から相続人へ移転する手続きです。遺産分割協議書などの必要書類を添付し、法務局へ申請しましょう。

相続の手続きを自分でやるメリットは費用を抑えられること

相続手続きを自身で行う最大のメリットは、専門家に依頼する費用を抑えられることです。書類の取得費や登録免許税の実費などだけで相続の手続きが完了します。司法書士や弁護士に依頼する場合、数十万円程度の費用がかかるのが一般的です。費用を抑えたいという方は、自身で手続きを行うことを検討してみましょう。ただし、前述した通り、手続きの難易度によっては、専門家に依頼したほうが結果的に費用を抑えられるケースもあります

相続手続きを自分でやるデメリット2つ

相続手続きを自分でやる場合、デメリットもあります。それが時間や労力、手続きの正確性などです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

時間と労力がかかる

相続手続きには、戸籍謄本などの書類収集、遺産分割協議書の作成、各種申請手続きなど、多くの時間と労力を要します。必要書類を集めるだけでも、手間と時間がかかります。また、相続税の納付は、相続開始から納付期限まで10か月です。期限内に手続きを終えるためには、早めに準備を進める必要があります。特に、仕事や家事などで忙しい方にとっては、大きな負担となる可能性があるでしょう。

登記漏れのリスクがある

不動産の相続登記など、手続きを誤ってしまうとトラブルに発展する可能性もあります例えば、不動産を売却したい場合、本体の土地の前面道路部分の登記漏れなどで売却がスムーズに進まないといった事態に陥ってしまうことも。その場合、再度遺産分割協議から行うことにもなりかねません大きな手間と費用がかかってしまうのです。特に、不動産登記は専門知識が必要となるため、手続きを誤ってしまうケースも少なくありません。もし、手続きに不安がある場合は、無理せず専門家に相談することを検討しましょう。

相続の手続きで不安なことははなまる相続へ相談を

相続を円滑に進めるには、知識と手間が必要です。「相続手続きを自分たちだけで完結できるか不安…」と感じた方は、ぜひ一度「はなまる相続」にご相談ください。弁護士、税理士、司法書士、公認会計士、不動産鑑定士、行政書士などの法律や手続きの専門家、保険・不動産などの実務家が所属しており、ワンストップで手続きが完了します。お客様一人ひとりの状況に合わせて、最適なサポートを提供できるのが強みです。初回相談は無料で承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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相続アドバイザー

大野 博満

Hiromitsu Ono

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はなまる相続のメンバーと連携し、相続人確定や財産調査、しなければならない手続きの洗い出しから預貯金等の現金化など、相続のお手続きをサポートいたします。

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