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遺言書の効果と遺留分

ここでは一つの事例を参考にしながら,①なぜ遺言書を残すことが大切なのか,②遺言書でどのようなことができるのかを押さえていきましょう。

(なぜ遺言書を残すことが大切なのか)
あるご夫婦の事例です。ご夫婦には子供はなく二人で仲良く老後を過ごしていました。そのような中,夫が突然の他界-。妻は一人での生活に不安を感じていましたが夫が残してくれた自宅と預金があれば何とか暮らしていけると考えていました。しかし,四十九日が過ぎたころ,夫の兄姉から遺産分割の話を持ちかけられたのです。兄姉の話によると「自宅の評価額は2400万円,夫の預金は800万円で総額3200万円。自分たちにも4分の1(800万円相当)相続する権利がある」と。このケースでは,遺言で特に指定がない場合,妻は夫の兄姉の主張を退けることはできません。生活にはある程度の現金が必要なので,自宅売却の可能性もでてきます。どのような形で分割するにせよ,妻の今後の生活にとっては大きなダメージです。夫はどうすればよかったのでしょう。
実は,「妻にすべての財産を相続させる」という遺言書を残してさえいればこのような事態は回避できたのです。ただし,遺言書で分け方を指定すればすべてその通りになる訳ではないので注意が必要です。

(遺言書でできることは)
遺言書でどのように指定したとしても,一定の相続人には最低限確保された取り分=「遺留分」が認められています。その割合は,法定相続分の2分の1(父母・祖父母などのみが相続人の場合は3分の1)です。もし,妻子のある夫が愛人に全財産を相続させる,という遺言書を残しても,妻や子は遺留分を主張することで全財産の半分を受け取ることができます。
この「遺留分」は兄弟姉妹には認められていません。よって,前述の事例のように法定相続人が妻と兄姉の場合,遺言書で指定していれば妻は遺留分の心配をすることなくすべての財産を受け取ることができた,ということになります。
遺言書でできることは,相続分の指定に限られません。遺産分割方法の指定・遺産分割の禁止,遺贈,遺言執行者の指定,推定相続人の廃除とその取消し,子の認知など法律で定められたことについては法的な効力が生じます。逆にそれ以外のことを書いても法的な強制力はありません。

 

相続アドバイザー 今井 絵美